苦手/にがて

意味

苦手とは、自分とは合わず、扱いづらい相手。好ましくない相手。転じて、得意でないもの。不得手。

語源・由来

江戸時代に使われていた「苦手」の意味は、不思議な力を持つ手のことであった。
その手で押さえると、腹痛が治り、ヘビは動けずに捕えられるという。
『諺草』(1699年)には、爪に毒があって苦味のある手と記されており、この当時の「苦手」は「味が苦い手」の意味に由来していたことがわかる。

不思議な力を持ち、思うように動けなくなるというところから、「苦手」の「苦」には扱いづらく好ましくない、なかなか勝てないという意味が生じた。
「手」には「相手」「担い手」のように「人」を表すことも影響して、「苦手」は扱いづらく好ましくない相手を意味するようになり、相性が悪いところから転じて、得意でないことも表すようになったと考えられている。

ただし、「苦い」という言葉が、比喩的に不快なことを表すようになったのは江戸時代で、「苦手」が現代の意味に変化したのは明治時代である。
そのため、江戸時代に使われていた不思議な力を持つ手の「苦手」とは関係なく、「苦い相手(不快な相手)」の意味で、新たに「苦手」という言葉が作られた可能性もある。
また、元々あった「苦手」の意味が変化する過程で、比喩的な「苦い」の意味が影響したとも考えられる。

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