色物/いろもの

意味

色物とは、寄席演芸のうち、講談・義太夫・落語に対して、漫才・奇術・紙切り・曲芸・声帯模写などのこと。

語源・由来

色物は、講談や落語など寄席の中心をなす演芸に対し、彩りを添える物という意味に由来する。
落語や講談の演目は黒文字、それ以外には朱文字で書かれることに由来する説もあるが、かつて「色物」は「色取り」とも呼ばれていたことから、彩りを添える説の方が妥当である。

三代目三遊亭円遊の落語『素人洋食』(1891年)に「ヱーお堅い講談の間へ御色取りに御若輩のお笑ひを一席弁じ上ます」とあるように、古くは講談や義太夫などに対する諸演芸を「色物」と呼んでいたため、落語も色物であった。
現在の東京の寄席は落語が中心となっているため、主に、落語以外の芸を「色物」と呼んでいる。
ただし、講談は落語よりも歴史が古いため、講談は色物に含まれない。

大阪の吉本興業の演芸場では、漫才を中心に構成されているため、落語が色物という扱いになり、各演芸場で中心となるものによって色物と呼ばれる演芸は異なる。
演芸用語から転じて、一般には「色物商品」「色物扱い」「色物キャラ」など、主要な位置にないものの意味でも使われるようになっている。

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